最近、SNSや投資系のニュースメディアで「Tracers ゴルカン」という謎の言葉をよく目にしませんか?
新NISAが始まり、「とりあえずオルカン(全世界株式)を買っておけば安心」と投資デビューを果たした方も多い中、「え、オルカンの次はゴルカン?乗り換えたほうがいいの?」と戸惑っている方もいるかもしれません。
本記事では、2026年3月に誕生して以来、投資のプロたちをも唸らせている話題の投資信託「Tracers ゴルカン」の正体を、予備知識ゼロの方にも痛快なほど分かりやすく解説します。
結論から言うと、これは私たちの「リスクとリターンの常識」を根底から覆す、とんでもない錬金術のようなファンドです。一体何が凄いのか、そして私たちの資産運用にどう取り入れるべきなのか、スッキリ解消していきましょう。
2026年3月誕生の「Tracers ゴルカン」は株と金に100%ずつ投資する魔法の投信
2026年3月6日、アモーヴァ・アセットマネジメント(旧:日興アセットマネジメントが2025年9月に社名変更)から、ある一本の投資信託がリリースされました。
正式名称を『Tracers MSCIオール・カントリー・ゴールドプラス』と言います。このファンドが、投資家たちの間で「全世界株式(オルカン)+ゴールド(金)」を略して「Tracers ゴルカン(またはTrオルゴ)」という愛称で呼ばれ、現在ネット上で大旋風を巻き起こしています。
「名前が長くて難しそう」と思うかもしれませんが、仕組みは中学生でも分かるくらいシンプルです。
通常、投資信託というのは「投資家から集めた1万円で、1万円分の株を買う」というものです。しかし、この「Tracers ゴルカン」は少し違います。
あなたがこのファンドに1万円を投資すると、ファンド側は金融工学(先物取引)の力を使って、以下のように運用してくれます。
- 世界中の株式(オルカン)を1万円分買う
- さらに、同時に安全資産である「金(ゴールド)」も1万円分買う
つまり、「1万円の元手で、合計2万円分(200%)の投資ができる」という、魔法のような仕組みを実現したのがこのファンドなのです。
これを専門用語で「レバレッジ(てこの原理)」と呼びますが、要するに「1粒で2度おいしい、欲張りな幕の内弁当」が誕生した、というのが今回起きているニュースの最大のポイントです。
利益を削らずに防御力を高め、かつ信託報酬を極限まで下げた「価格破壊」が凄い
では、なぜこれが連日ニュースになるほど画期的なのでしょうか?理由は大きく2つあります。
理由1:投資における「究極のジレンマ」を解決したから
これまで、投資の世界には絶対に逃れられないジレンマがありました。それは「安全を求めると、利益が減る」という法則です。
株式投資は利益が出やすい反面、大暴落のリスクがあります。そこで賢い人は「株を50%、不況に強い安全資産の『金』を50%」というように分けて投資(分散投資)をしてきました。しかし、これをするとどうなるでしょう?もし株価が2倍に値上がりしても、資産全体で見れば半分しか恩恵を受けられません。「防御力を上げると、攻撃力が下がる」のがこれまでの常識でした。
しかし、「Tracers ゴルカン」は先物取引を活用することで、「攻撃力(株式)100%のまま、防御力(金)100%の盾を装備する」というチート級のステータスを実現しました。
株式の成長力を一切邪魔することなく、有事の際に値上がりしやすい「金」をフル装備できる。これは、リスクを抑えながらお金を増やしたい一般投資家にとって、まさに「夢の仕組み」なのです。
理由2:信託報酬(コスト)の常識外れな「価格破壊」
実は、こうした「先物取引を使ってレバレッジをかける複雑な投資信託」は昔から存在していました。しかし、その多くは運用管理費用(信託報酬)という手数料が「年率1%以上」と非常に高く、長期投資には不向きだと言われていました。
ところが今回、アモーヴァ・アセットマネジメントが打ち出した「Tracers ゴルカン」の信託報酬は、なんと年率0.2519%(税込)です。
- 一般的なレバレッジ型ファンド: 年率1.0%〜1.5%前後
- Tracers ゴルカン: 年率0.2519%
これは業界を震撼させる異常なほどの低コストです。「超高度なプロの運用手法を、誰でも買える激安価格でスーパーに並べた」ようなものであり、これが金融関係者やブロガーたちがこぞって「ヤバい」と騒いでいる最大の理由なのです。
NISAはオルカン、特定口座はゴルカンという「新時代の資産運用スタイル」の定着
この「Tracers ゴルカン」の登場により、私たちの資産形成の常識はどのように変わるのでしょうか?
最も大きな変化は、「新NISAの『次の一手』が明確になったこと」です。
現在、多くの日本人が新NISAを活用し、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などを毎月積み立てています。これは非常に素晴らしいことですが、運用額が500万円、1000万円と増えてくると、一つの悩みに直面します。「もし今、リーマンショック級の暴落が来たら、資産が半分になってしまうのではないか…?」という恐怖です。
そこで、これからの時代の新たなスタンダードとして、以下のような「二刀流」の戦略が一般化していくと推測されます。
| 口座の種類 | 投資する商品 | 役割と理由 |
| 新NISA口座 | 通常の「オルカン」 | 非課税メリットを最大限活かし、純粋な株式の成長を狙う(コア資産)。 |
| 特定口座(課税) | 「Tracers ゴルカン」 | NISA枠外の余剰資金で投資。金(ゴールド)の力で資産全体の暴落リスクを和らげる「盾」として機能させる。 |
【重要】なぜNISA口座でゴルカンを買わないのか?
ここが非常に重要なポイントです。実は、現行の新NISA制度(成長投資枠)では、ルールの関係上「先物取引を使って200%の運用をするようなレバレッジファンド」は対象外となっています。つまり、Tracers ゴルカンはNISAでは買えません。
だからこそ、「NISAはそのまま優等生のオルカンで埋めつつ、お小遣いやボーナスなど課税口座で投資する分は、資金効率が高く防御力も兼ね備えたゴルカンに任せる」という、非常に美しく無駄のない役割分担が完成するのです。わざわざ自分で「金」の専門ファンドを計算しながら買う手間がなくなり、私たちの投資ライフはよりシンプルで強固なものに変わります。
NISAは継続しつつ、余剰資金を使って特定口座でゴルカンを「少額から」お試し投資する
では、こうしたニュースを踏まえて、私たちは明日からどう行動すべきでしょうか?以下の3つのアクションを提案します。
- 決して「NISAのオルカン」を売ってはいけない「ゴルカンの方が凄そう!」と飛びついて、せっかくNISAで積み立てているオルカンを解約するのは絶対にNGです。投資の王道はあくまで「非課税枠のフル活用」。ゴルカンはあくまで、NISAとは別の「特定口座(課税口座)」で買うべきオプションパーツだと認識してください。
- 「株と金の同時暴落リスク」を理解する魔法のようなファンドですが、弱点もあります。それは「コロナショック」の初期のように、世界中の人がパニックになって「株も金も全部売って現金にしたい!」となった場合です。株と金が同時に値下がりすると、200%運用であるこのファンドは通常の2倍のスピードでダメージを受けます。この特性をしっかり理解しておくことが重要です。
- 余剰資金で「少額から」トッピングしてみるもし特定口座で眠っているお金や、毎月少しだけ投資に回せる余裕があるなら、月々数千円からTracers ゴルカンを積み立ててみるのがおすすめです。「株価が下がっているのに、ゴルカンは金のおかげでダメージが少ない!」という値動きの面白さを、実際の口座で体感してみてください。
まとめ
2026年3月にアモーヴァ・アセットマネジメントが放った「Tracers ゴルカン」は、単なる一過性のトレンドではありません。「利益を削らずにリスクに備えたい」という人類の長年の夢を、圧倒的な低コストで実現した金融界のエポックメイキング(歴史的画期)です。
資産運用の世界は日々進化しています。NISAで投資の第一歩を踏み出した皆さんが、次の一歩として「自分のお金を守りながら増やす最新ツール」を知り、賢く使いこなしていく。本記事が、そんな皆さんの豊かな未来への強力な武器となれば幸いです。
【参考文献・出典元】
- アモーヴァ・アセットマネジメント:Tracers MSCIオール・カントリー・ゴールドプラス 特設サイト
https://www.amova-am.com/sp/tracers/allcountrygold - マネックス証券 ファンド詳細情報
https://fund.monex.co.jp/detail/02311263 - みんかぶ 投資信託基準価額・チャート
https://itf.minkabu.jp/fund/02311263


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