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日本株投資は長期投資に向いていないのか

日本株式投資
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日本経済に対する悲観論

中短期投資はともかく、長期投資をするにあたり、日本株式に投資するのは誤りであるという意見があります。この点について考えてみたいと思います。

こういう意見の前提としてだいたい次のような主張がなされます。

  • 日本経済はこれから斜陽で成長が見込めない
  • これから本格的な少子高齢化社会を迎え経済力が落ちていく
  • バブルに絶頂期を見せた後は日経平均は右上がりチャートを形成していない

これは実は次の論拠に持っていくための前振りです。

  • アメリカ経済はグローバル企業もたくさんあり今後も成長が認められる
  • アメリカは少子高齢化どころか、移民を受け入れ、また、いまだに人口増加している
  • ここ100年を見てもS&P500やダウ平均は右上がりチャートを形成している

だから、日本株よりアメリカ株を買おう、アメリカ株で長期投資をしよう」という論拠になっていくわけです。

もうアメリカ株に投資するしか選択肢はない

これらの主張は大筋で正しいと思えます。
例えば、次のチャートを見るとアメリカ株を選ばずにあえて日本株に長期で投資したいとは思いませんよね。私もそう思いません。

日本(Nikkei225)1971-2020

アメリカ(S&P500)1971-2020

アメリカ株式投資の障壁

私たちがアメリカ人ならこれで終わりでいいのですけど、このブログを読んでいる人たちの大多数は非アメリカ人で日本に居住しているものだと思われます。日本語でブログを書いていますからね。中には英語が苦手の人もいることと思います。そうであるとすると、次のような障壁があることになります。

アメリカ株投資は敷居が高い

アメリカ株投資はアメリカの株を買うわけですから、日本とは勝手が違うことにまず戸惑います。
どうやって買えばいいのかと。確かに、アメリカの会社に口座を開いて英語で情報収集をして注文をしてとなるとハードルが限りなく高くなります。心が折れそうです。

しかしながら、昔と違い、今では日本の証券会社でもアメリカ株をだいたい取り扱っているので日本語で注文できます。先入観を捨てられるのであればそんなに難しいことではないです。よって、この障壁は実はあまり問題ではありません。

ホームバイアス(ホームカントリーバイアス)からの脱却

これに対し、ホームバイアスの克服はたやすいことではありません。ホームバイアス(home bias)とは、人はみなデータに基づく客観的情報を基に投資判断するのではなく、多かれ少なかれそれが非合理でも投資先を自国に偏らせるバイアスがかかるというものです。アメリカ人ならアメリカ株、中国人なら中国株といったようにです。特に、日銀の海外資産受容率などをみると日本人はその傾向が特に強いようです。日本経済が強く日本語で何事もなく生活できるからでしょうね。

これを克服するのは難しいと思います。アメリカ株は英語の情報が圧倒的ですから、英語が堪能ならまだしも、日本語しかできない、英語から日本語に翻訳されたものしか情報にアクセスできないとしたら、日本株に偏向するのは避けられないと思います。このバイアスを克服するのはたゆまぬ努力が必要であり大変です。

しかし、日本株に極振りをするということは、投資の原則であるリスク分散をしないということですから非常に危険な考えです。それでもあえて日本株式投資のみだというのであれば、日本市場と運命を共にすることもいとわない覚悟が必要でおすすめできません

私たちはこれからも「円」で生活していく

「利益をドルで持っていても…」というのもあります。私たちの多くは、今もこれからも老後も日本で過ごす人が大多数です。老後は海外移住でという人もいるとは思いますが、多くは日本で人生のほとんどを過ごします。日本では、流通しているのが「円」で、国際基軸通貨の「ドル」が使えるところはほとんどありません。例えば、コンビニでドルで支払おうと思っても受け取ってもらえません。

つまり、私たちは、「ドルで売買し、ドルで利益を上げた後、最終的には「円」に替えなければならない。」という面倒さとリスクを背負っていることになります。

この点もかなりのハードルです。円に変換することを前提とするドル管理というのは非常に大変です。しかし、逆に現金という資産の分野で「円」建てのみで資産を形成するというのは、これもまたリスクが集中しており分散すべきです。これは必要な面倒さといえます。

為替リスクがある

また、上述したとおり、ドルを円に一度は替えなければならないのですから、為替リスクが常に付きまといます。例えば、仮にアメリカ株で(日本株で投資するより)利益を上げたとしても、変換時点で非常に高い「円高」となっていれば、その利益は吹っ飛び、結局は日本株で円のまま投資し円のまま利益を保有していた方が資産が増えたということもあり得ます。

日本でドルを保有するということは為替リスクと常に向き合うことなのです。

税金の処理が難しい

税金の処理が非常に面倒です。例えば、アメリカ株で配当益を得た場合、まずアメリカで課税されます。そのあとに日本でも課税されるのですが(二重課税)、これを取り戻さないと利益も吹っ飛んでしまうので確定申告をして「外国税額控除」の適用を受けないといけません。

このように、どうしても、税金上は外国で納税、日本で納税ということになるので処理が煩雑になります。それをいとわない意思が必要です。

パクス・アメリカーナを信じる心

そして、最後に、自分がこのアメリカの栄光が(少なくとも自分が生きている間は)続くと信じる、信じられる心が必要です。確かに、ここ百年は右肩上がりのチャートを形成していますが、これもいつ終わるのかは誰にもわかりません。パクス・ロマーナもパクス・ブリタニカも始まりと終わりがありました。

ただ、この点は、少なくとも向こう30年くらいの長期投資の期間であるならば、まだ経済はアメリカ一強かなとは私は思っています。例えば、GAFA(ガーファ)、GAFAM(ガーファム)もすべてアメリカ企業であり、アメリカはいまだ底知れぬ強さを持っていると考えているからです。

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まとめ

日本株式に長期投資するメリット

私は、基本的にはアメリカ株に長期投資すべきだと考えています。しかし、それをアメリカ株に集中させるのはあまり賛同していません

確かに、アメリカ株に集中させた方が資産が増えるように思えます。しかし、そうだとしてもやはり、リスク管理の観点からはほかの市場にも分散させるべきだと考えるからです。そして、そのほかの市場には、真っ先に(仮に斜陽経済であったとしても)「日本市場」があげられます。

上記で述べたアメリカ株を買う時の障壁というのは、何もアメリカ株に限ったことでなく、外国株を買う際にすべて該当する障壁です。そして、世界で唯一、私たちにとってその障壁がない市場が「日本市場」なのです。日本株式に投資する最大のメリットとは、これらの障壁が全くないことです。

日本株式に投資するメリットとしては、障壁とは逆ですので以下の通りです。

  • 日本語で口座を設けることができるしサポートを受けられる
  • 世界において日本市場に関する情報は日本語での情報が最も多い
  • 市場の政府は自国民に有利なように手続きを定めている
  • 為替リスクが全くない
  • 税金がほかの国に投資するのと比べ安いし手間がない

このようなメリットは当たり前と言っては当たり前なんですけど、これらのメリットは無視することはできません。
アメリカ人はアメリカ市場においてこれらの利益を享受できており、アメリカ市場を無視できないことを考えると非常に有利なのですが、ほかの非アメリカの中だけで言えば、日本もかなり有利だと思います。世界第3位の市場を持ち、日本円が強く、自国市場のこのであれば自国言語でほかに優位に立てる。この有利の立場を利用しない手はないと思うのです。

長期にアメリカ株も日本株も投資しよう

長期投資の際には、複数の市場に投資して、リスクを分散させる必要があり、同じ意味で、できれば、現金という資産も「自国通貨」だけではなく「国際基軸通貨」も持っておきたい。」というニーズを前提とすれば、私たちにとって「世界で最も発展しており市場が拡大しているアメリカ市場」と「自分が生活している日本市場」とに投資することが最も効果的な組み合わせのように思われます。

その意味でやはり、いくらアメリカ株が成長しているからと言って、日本株式に投資しないわけにはいかないと私は考えるのです。日本に居住していない人にとってはそうでもないかもしれませんが、日本に居住している人にとっては、日本市場は投資する価値がある市場なのです。

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