投資信託とは
まず、そもそも投資信託とは何かというと、一般社団法人「投資信託協会」では次のように説明されています。
「投資信託(ファンド)」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。
「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。
要するに、個別の株式を自分で選んで一つ一つ買うのではなく、まずファンドがいくつかの株を選定し、そのパッケージが気に入ったのなら(ファンドの運用方針に共感できたら)、そのパッケージを買う(そのファンドに投資しそれによって得られた利益を得る)というわけです(アクティブ運用)。
自分で選んで株式を買う場合、値上がりした場合はよいですが、値下がり、または、暴落した場合は資産を失ってしまいます。そこで、ひとつの(あるいは複数の)株式を自分で選んで買うのではなく、そのパッケージを買うことによって、そのパッケージに含まれている株を(日本株でしたら基本100株ずつ)すべて買うことなく、それを買ったと同じリスク分散の利益を享受できることになります。投資できる最低額も個別に買うときと比べ低額から始められ、非常にメリットがあります。
デメリットといえば、自分で選んで株を買う場合に比べ、リスクが低くなる分、リターンも減ってしまうことが上げられます。なぜなら、一つの株が値上がりしたとしても、パッケージの他の株の値下がりなどでその利益が希釈化されてしまうからです。
ETF(上場投資信託)とは
次にETFについてですが、これもまた同じく一般社団法人「投資信託協会」の説明によると次のようになります。
ETFとは、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託で、
「Exchange Traded Funds」の頭文字をとりETFと呼ばれています。たとえば、ETFの代表的な商品として、「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFがあります。TOPIXとは、東京証券取引所によって発表される、東証第1部の全銘柄の動きを反映した株価指数のこと。このTOPIXに連動するETFは、TOPIXの値動きとほぼ同じ値動きをするように運用されます。つまりこのETFを保有することで、TOPIX全体に投資を行っているのとほぼ同じ効果が得られます。
なお一部、投資信託の仕組みを用いていない商品や、日本の法律ではなく外国の法律に基づいて組成された外国籍ETFも、日本の市場に上場していますが、それらも総称してETFと呼ばれることがあります。
これに対し、ETFは投資信託の一部ではありますが、その中では特殊な投資信託となります。つまり、先ほどの投資信託は、ファンドがパッケージを選ぶといいましたが、このETFはファンドが選ぶのではなく、パッケージが選ぶものによって最初から決まっています。投資信託協会の例でいうと、「東証株価指数(TOPIX)」に連動するETFの商品は、TOPIXに連動するわけですから、大ざっぱに言えばTOPIXで取引されている株式全部です(パッシブ運用)。全部買わないとTOPIXと同じ動きはしないわけですから。またETF(上場投資信託)はその名の通り、他の投資信託と異なり上場しています。
このように、ETFとは、投資信託の一部ではあるのですが、パッケージの内容があらかじめ決まっているものです。これにより、信託報酬は他の投資信託と比べ格段に安いです。なぜなら、パッケージをファンドマネージャーがいろいろ吟味して選ぶ必要がなく(あらかじめ決まっているので)、その分の人件費等が発生しないため、手数料を安く設定できるからです。
投資信託とETFとの違い
日本株式の投資信託とETFとの違い
まずは、日本株式の(普通の)投資信託と日本のETFとの違いを表にすると下図のようになります。
(普通の)投資信託 | ETF | |
上場 | 上場していない(非上場) | 上場 |
運用方法 | 基本はアクティブ運用 | パッシブ運用 |
種類 | 圧倒的に多い | 指標が限られているため少ない |
最小購入価格 | 100円から始められるところも | 1取引単位 |
取引時間 | 基本的には1日1回算出される基準価額で購入する | 上場しているのでリアルタイムで市場価格が変動する |
取引場所 | その投資信託を販売している証券会社や銀行、郵便局などで買う | 証券会社 |
信託報酬 | 高い | 低い |
分配金 | その都度、分配金を支払ってくれるものや、無配のもの、そして、分配金を自動的に再投資してくれるものなどいろいろ | 決算時にすべて分配し、自動で分配金を再投資してくれない |
自動積み立て | 自動積立てをしてくれるものが多い | 自動積み立てをしてくれるところはまれ |
基本的な考え方としては、ETFは日本株式の個別株を購入する際と同じように証券会社を通じて買付や売却の注文を出すので、原則としては自分で一つ一つ手動で購入することになります。これに対し、投資信託はそこら辺の面倒なことを代わりにやってくれるので、毎月自動的に一定額購入してくれますし、分配金を自動で再投資してくれたりします(その分、手数料が高いです)。
また、ややこしいことに、投資信託の中には、選んだパッケージが敢えて指標と同じという商品もあります(インデックスファンド)。この場合ですと上場はしていませんが、その中身はその指標に連動するETFと同じものになります。その場合は、選ぶコストが安くなりますので、ETF程ではないにせよ、信託報酬料は安くなっているものが多いです。
また、投資信託の中には、できるだけ安くするために、信託報酬料は高いままですが、ノーロード(No-load)と呼ばれる購入時の手数料が無料の投資信託もあります。
逆に、東京証券取引所が扱う約200銘柄のETFはすべてインデックス型ですが、米国においてはアクティブ型のETFも存在しています。つまり、ファンドがパッケージを選んでいて、かつ、上場しているものです。
種類 | 運用 | ファンド |
(普通の)投資信託 | アクティブ運用 | 指標(ベンチマーク)不使用 |
アクティブ運用 | アクティブファンド | |
パッシブ運用 | インデックスファンド | |
ETF | パッシブ運用 | インデックスファンド |
アクティブ運用(米国) | アクティブファンド |
米国株式のETFと日本の投資信託
日本の(普通の)投資信託には多種多様なものがあり、日本のETFと同じようなパッケージにしているものの他に、アメリカのETFと同じようなパッケージにしている投資信託もあります。
例えば、有名なところでいえば、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」の内容は、米国ETFのバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)です。
この場合、本家アメリカのETFをそのまま買うべきか、あるいは、日本のアメリカのETFの内容の投資信託を買うべきかという問題も、投資信託とETFとを選ぶときに問題となることがあります。以前書いたとおり、アメリカ株は日本でも世界でも大人気ですからね。
日本の投資信託 | 米国ETF | |
売買通貨 | 日本円 | 米ドル |
取引場所 | 日本の証券会社等 | アメリカだが日本の証券会社も扱うところもある |
最小購入価格 | 100円から始められるところも | 1株あたりの市場価格 |
取引時間 | 基本的には1日1回算出される基準価額で購入する | 上場しているのでリアルタイムで市場価格が変動する(もちろんアメリカ時間) |
信託報酬料 | 高い | 安い |
分配金 | その都度、分配金を支払ってくれるものや、無配のもの、そして、分配金を自動的に再投資してくれるものなどいろいろ | 決算時にすべて分配し、自動で分配金を再投資してくれない |
自動積み立て | 自動積立てをしてくれるものが多い | 自動積み立てをしてくれるところはかなりまれ |
税金 | 税金の処理をしてくれる | 自分で処理(為替差益など面倒) |
どれを選ぶべきか
それではどれを選ぶべきか、どのように投資すべきでしょうか。私の考えは次の通りです。
日本株式に投資する投資信託とETFについて
まず、私は「日本株式に投資すべきだが、日本の投資信託とETFには投資すべきではない」と考えています。最近は改善されてきていますけど、日本株式に投資する投資信託は信託報酬料が非常に高いものが多いうえに、それで成績がよければいいのですが成績も悪い。魅力的に映るものはあまりありません。まだ、銀行の窓口で投資のプロ(?)の説明を対面で受けながら、馬鹿高いものを売りつけるという前世代的なものが多いからです。
では、どうすればよいかというと、私は自分で自作ETFを作成するのがよいと考えております。そして、その環境は実はすでにあります。
この方法で自分で信託報酬料ゼロ円の自作ETFを作るのも一つの手ではないかと考えております。
アメリカ株式に投資する投資信託とETFについて
これに対し、アメリカ株のETFは優れたものが多く、定番と呼べるものがたくさんあります。信託報酬料が非常に低いのも世界の流れといえます。
私はアメリカ株のETFに投資すべきと考えますが、そこには、アメリカ株式の本家ETFを買うのがよいのか、日本の投資信託で米国ETFを取り扱っているものを買うべきなのかという問題があります。私は、そこそこ資産があり、煩雑な手間も厭わなければ米国本家ETFを買うべきだが、それ以外の人は日本の投資信託を買うべきと考えています。投資資金がそこまで大きくなければ、信託報酬料の差は当然小さくなりますし、その手間を考えれば日本の投資信託で買うのも合理的だと考えるからです。
これに対し、日本の投資信託にお目当ての米国ETFがなければ、これは仕方ないことですが、本家アメリカのETFを買うしかないでしょうね。
以上です。次の機会に、具体的にどのような投資信託やETFを買ったらよいかについて見ていきたいと思います。
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