投資する期間について考える
投資には投資期間によっていくつかに分かれます。
長期投資 | 5年以上~ | |
中期投資 | 1ヶ月~2年程度 | |
短期投資 | 当日売買~数週間程度 | |
短期投資 | スイングトレード | 数日から数週間程度 |
デイトレード | 1日程度 | |
スキャルピング | 数秒から5分程度 |
基本的には、期間が長くなればなるほどリスクは低くなり、1回の利益が大きくなります。
長期投資という方法とその問題点
人によって様々でしょうけど、万人向けの投資という意味においては、自分の将来の資産をギャンブル的な投資につぎ込むことはできませんので、他の投資をするにしても投資の主軸は長期投資となります。また長期といっても、5年程度のスケールで見ているのではなくて、できれば若いうちからはじめて30年間、40年間、毎月少しずつ積み立てられたら理想です。なぜならば、チャートに一喜一憂するのではなく、一度決めた商品をひたすら自動的に適切な投資信託、ETFや株を買い続ければ、30年後、40年後には何倍、何十倍にもなっているのですから。リスクも少なく、割と確実に資産を増やせるという意味では王道であります。メンテナンスも頻繁にする必要はないですし、これほど楽で簡単な投資もありません。ウォーレン・バフェット氏やシーゲル氏の方法ですね。
しかし、この投資方法はリスクとトレードオフするのは「時間」です。例えば、仮に20歳からはじめて60歳の定年間際になって1億円の資産を得たとして、それは正しいのか(正解なのか)という問題があります。
老後の資金が潤沢にあるのは安心だしうれしいけれども、おじいちゃん、おばあちゃんになるまで贅沢をせずにコツコツ貯め、若いときにお金を使わず(使えず)、それで果たして幸せなのだろうかという命題です。それだったら、長期投資をするのではなく、リスクを冒しても短期投資をして利益を追求すべきなのではないかというのは当然の帰結であります。お金が必要なのは老後だけではなくて今なんだというわけですね。
中短期投資という方法
そこで「お金が必要なのは今もなのだから、リスクを冒しても中短期投資をする」というのはある意味正しい考え方だと思います。そもそも長期投資でも中短期投資より低いだけでリスクがないわけではないのですから。
それでも、趣味ならともかく、生活に密接する今後の資産を扱うわけですから、ハイリスクだけというわけにはいかず、長期投資と併用して行うというのが合理的かなと思います。単純に思いつく折衷説ですね。一番の問題はその割合ですが、長期:中短期=8:2、7:3、6:4などと、このうちどれにするかはその人のリスク許容度とその人の年齢によることになります。
長期投資で配当を得る方法
考え方としては、「では、長期投資をしつつ、配当を消費したら両方のニーズを満たせるのではないか」というのもありえます。すなわち、高配当株式で、かつ、割安株(その会社の利益や資産に対しての評価が株価に反映されておらず、株価が低い状態の株式)や成長株(業績が良く、株価が高く評価されていて、さらに成長が見込める株式)を長期保有すれば、老後の際の譲渡益も途中の配当もえられて一挙両得ではないかというわけです。
話はそれますが、高配当株式を極めればそもそも譲渡益(その株式を売ったと得られる利益)を気にすることなく、配当をもらうだけで老後も安心ということもあり得ます。いわゆる、「配当生活」(配当だけで生きる)ですね。
これは聞いたらいいことずくめに思えますが、これは難易度が高いです。高配当株式をどのように定義するかによりますが、配当利回り3.75%(税引き後3%)以上として、現実的な利回りを4%とすると、年間400万円(月額33.3万円)を配当で得ようとすると買わなければならない株式は1億円分となります。そこまでは行かなくとも、年間84万円(月額7万円)ほどならといっても、2100万円必要です。毎月5万円ほど積み立てていって35年もかかる計算ですね。
配当については、消費するのではなく、配当をさらに投資する「再配当」の方が最後に得られる利益は多くなりますが、私は配当は消費した方がいいんじゃないかなと思います。あともらうお金も大切ですが、今もらうお金も大切だからです。
つまり、長期投資でも配当を消費すれば、途中で投資の恩恵にあずかれるという意味で、折衷案の一つでもあります。
長期投資の問題に対する一つの答え
「長時間を掛ければ資産を形成できるが、老後に資金を得てもそれでは十分でない」という命題に対する一つの答えとして、欧米のミレニアム世代で流行ったFIRE(Financial Independence, Retire Early;経済的自由と早期退職を実現すること)ムーブメントがあります。
簡単に言えば、夫婦共働きをし30歳代まで質素倹約をしてお金を貯め、その貯めたお金で配当生活を送るというもので、貯めた額によってその後の生活も決まります。例えば、先ほどの例でいえば、現実的な線で考えると、年間240万円(月額20万円)で夫婦暮らしていけると考えれば、配当利回り4%で6,000万円必要です。これを15年ほどでためようとするのであれば、年間400万円(月額20万円)を積み立てていけばよいので、共働きならば不可能ではない数字といえます。年間240万円は少々寂しいですが、完全なる不労所得ですので、働かなくてもよく自分のための時間をより多く使えて生活の質も高まるといえます。エリート層のパワーカップルなら積立額をもっと積めてもっといい数字が出るでしょう。
まとめ
投資は、長期投資を基礎とすべきだと考えますが、そこには「今使えるお金とあとから使えるお金」という問題が生じます。これに対し、中短期投資を織り交ぜるか、配当を消費するか等を考え、この命題に折り合いをつける必要があります。それは自分の生活スタイル、投資スタイルによるところが大きいです。その人のライフスタイルそのものです。
そこでFIRE生活は現実的にはいろいろと問題はありますが、私たちのライフスタイルというものをどのように考えるかについて非常に強い示唆を与えてくれます。
このように投資をする際には、「リスクをどのようにとってどの期間の投資をするのか」という視点とともに、「そのリターンをいつうけるべきなのか」についても同時に考えていく必要があるように思います。
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