はじめに
ETFとは何かについてはこの記事を参照ください。
今回はさらっとどんなものがあるかについて書いていきたいと思います。
なお、ETFを運用する会社としては、アメリカの資産運用会社であるバンガード・グループ、ブラックロック、ステート・ストリートの3社が世界三大資産運用会社ですので、これらの会社の商品を買うことが今回のテーマである「定番」となります。
①バンガード・グループ:バンガードシリーズが定番
・バンガード・インベストメンツ・ジャパン – 個人投資家向けトップ
②ブラックロック:iシェアーズ(iShares)が定番
・投資信託・ETF・資産運用ならブラックロック・ジャパン株式会社
③ステート・ストリート:SPDR ETFが定番
・Japan – JP | State Street Corporation
全世界に投資する
VT:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF【バンガード】
全世界の市場に投資しようとするなら、VTが定番です。40以上の国の8,000以上の株式銘柄に投資していますが、米国株式が半分以上占めており、初見のイメージである万遍なく世界に投資するというものではありません。セクターも「金融」と「テクノロジー」が多いです。
「米国の株式が下がってもこれがフォローしてくれる」ということもなく、米国の株価が下がったらこれもきっちり下がります。逆に「米国の株式が急騰した」場合でも、伸びは当然のことですが米国のみのものと比べいまいちです。中途半端といえば中途半端なんですが、米国市場に連動しつつ、上がりにくいが下がりにくくもあるという意味で、いくらか入れておくのはありかと思います。
なお、定番なので日本の投資信託においてもこれを基にしたものがあります。
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 投資信託 | 楽天証券
S&P500(米国上場銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出)
VTI:バンガード・トータル・ストック・マーケットETF【バンガード】
日本の投資家の中では定番中の定番です。コロナショック前までアメリカの株価はNYダウ最高値を更新しまくっていたので、これを買っておけば間違いはないという風潮がありました。中には、「VTIのみ買っておけば他のETFは買わなくてもよい」という人まで出てきて、人気の強さを裏付けていました。
ただ、このETFはこのカテゴリに入れるのはちょっと違っていて、次の3つはS&P500に属するものだけに投資しているんですけど、VTIはそれよりも数が多くて「アメリカ市場丸ごと」に投資しています。エリートだけではなくてアメリカそのものを買うというイメージですね。まさに文字通り「アメリカと心中する」EFTです。
また、このETFも非常に有名なので日本の投資信託においてもこれを基にしたものがあります。
・楽天・全米株式インデックス・ファンド | 投資信託 | 楽天証券
・SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド |SBI証券
VOO:バンガード・S&P500 ETF【バンガード】
IVV:iシェアーズ・コア S&P 500 ETF【ブラックロック】
SPY:SPDR® S&P 500® ETF【ステート・ストリート】
これら3つはどれもS&P500に投資するETFです。S&P500は、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)だけで20%程度を占められます。アメリカ株のエリート、いま輝いているものだけほしいという人はVTIよりこちらを選ぶとよいかもしれません。もしGAFAMが今後も輝き続けると思うのであれば、きっとVTIよりも利益を上げることでしょう。ただ当然ですが柔軟性でいえばVTIには劣ると思います。
また、VOOもIVVもSPYもどれも定番であり、同じインデックスファンドなのでどれを選んでも大差ないような気がしますのでお好きな方を選んだらよいかと思います。
DIA:SPDR® ダウ工業株平均 ETF【ステート・ストリート】
S&P500以外では世界一有名な指数であるNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株30種平均指数)に連動するETFもあります。銘柄数が30程度の銘柄しかないのでリスクの分散という観点からは劣っていますが、エリート中のエリートですので、伸び率もすごいものがあります。
アメリカの特定分野に投資する
QQQ:インベスコQQQ 信託シリーズ1【インベスコ】
さきほどのS&P500は、ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から、代表的な500銘柄の株価を基に算出される株価指数でしたが、QQQはこのうち、NASDAQ(世界最大の新興企業向け株式市場)のみ、しかも、NASDAQで時価総額が上位100社の企業だけを投資対象としています。
NASDAQに絞ることでS&P500を上回る成績を残せるすごいETFだと考える人はこのETFも視野に入ってきます。しかし、長期的に見てS&P500を上回れるかは議論の余地があるところです。なぜなら直近20年間はIT全盛期であり成長がすごかったからです。それが今後も続くのかはよく分からないところです。要は、アメリカの新興企業の成長性にかけるETFですね。
VGT:VGT バンガード米国情報技術セクターETF【バンガード】
さらに分野を狭めてアメリカの情報技術セクターに集中的に投資するというETFがこれです。「テクノロジー・ソフトウェア、サービス」「テクノロジー・ハードウェア、機器」「半導体および半導体製造機器」の三分野に特化しますので、この分野が今後も長期に伸びると信じられれば、汎用的なアメリカ全分野のS&P500よりもよい成績を上げられることでしょう。
アメリカの高配当ETFに投資する
VYM:バンガード・米国高配当株式ETF【バンガード】
HDV:iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【ブラックロック】
SPYD:SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF【ステート・ストリート】
今まで紹介したものは、安く買って成長したら高く売るというキャピタルゲイン(譲渡益)狙いのETFです。よって、インカムゲイン(配当益)はとても少ないです。これに対し、「私は譲渡益も配当益も狙っていきたいんだ」「景気に左右されるのはイヤ、譲渡益は妥協してでも手堅くいきたい」という方におすすめなのが、高配当株式ETFとなります。
アメリカ企業で高い配当をしている会社、連続増配当をしている会社の銘柄のみを集めたのが高配当株式ETFです。高配当を実施しているということはディフェンシブ銘柄(業績が安定している業種の銘柄)であることが多いことから、全体として景気に左右されにくいという特色があります。
言うまでもないことですが、高配当株式ということは安定している分、成長しづらく、よって、譲渡益は少なくなるわけでそれを是認しなければなりません。S&P500よりもパフォーマンスは悪くなる傾向があります。ただ、配当利回りはS&P500のETFより多いです。
なお、①VYMはFTSEハイディビデンド・イールド、②HDVはモーニングスター配当フォーカス指数、③SPYDはS&P 500 高配当指数を基にしています。
レバレッジETF
SPXL:DirexionデイリーS&P500ブル3倍ETF【ディレクション】
SPXS:DirexionデイリーS&P500ベア3倍ETF【ディレクション】
「S&P500が成長することは分かっている。なら、もっと儲けたい。」という方が投資するのがS&P500に3倍のレバレッジ(テコの原理)を効かせたSPXL、SPXSです。
両者の違いは、どっちにベットするか(賭けるか)であり、
①SPXL(Long:ブル[Bull、牡牛、上昇相場、強気派])は上昇する方に
②SPXS(Short:ベア[Bear、熊、下落相場、弱気派])は下落する方に賭けます。
基本的にみなさん米国株式が右肩上がりのチャートを形成すると考えているので、SPXSの話題は少ないですね。
ただ、これは投資というより投機であり、長期間保有するというより短中期用ではないかと考えます。使い方が分かっている人ならともかく、ギャンブラー的な投資をするのであればおすすめできません。上級者用ですね。上場廃止の可能性もありますしね。
債券ETFに投資する
BND:バンガード・米国トータル債券市場ETF【バンガード】
AGG:iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF【ブラックロック】
LQD:iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF【ブラックロック】
「高配当株式ETFよりもさらに景気に左右されたくない」という方は、上がりにくいが下がりにくい「債券」をポートフォリオにいれるのが投資の鉄則ですが、この「債券」だけを集めたのがこれらのETFです。かなりガチガチに安全性を重視しているもので、現金でもって置くよりはだいぶましですが、あまり収益は見込めないものとなります。
年齢を重ね、老後生活に入った場合など、リスクがとれない場合などは「債券」の割合を増やした方が合理的です。そうでなくとも、一定程度の割合でいれておくのは定石であります。ただ、資産の全部丸ごとこれらのETFに投資するというのはちょっとどうかと思います。
最近では世界経済の動向が激しく、「債券」の動きも従来考えられていたような動きとは異なる動きをしているので注意が必要ですね。もしかすると、「債券」を安全弁に考えるという考え方自体が変容されるのかもしれません。
ちなみに、「ガチガチの「債券」はちょっと…もうすこし利益を狙いたい」という方は次のようなものも有名です。利益が狙える代わりにリスクが上がります。
HYG:iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF【ブラックロック】
PFF:iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF【ブラックロック】
ARCC:エイリス・キャピタル【エイリス・キャピタル】
新興国に投資したい
VWO:バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF【バンガード】
「これからは「アメリカ」ではなく、新興国市場だ」「中国、台湾、ブラジルなどがくる!」という方はそういうETFもあります。ただ、10年以上前から新興国の時代が来るといわれ続けてますが、パフォーマンスはいまいちです。やはり、アメリカの力は絶大です。S&P500に全然勝てません。
しかしながら、長期的な目で見れば、盛者必衰、いつかはアメリカとて没落するわけで、今後すごいパフォーマンスを発揮するかもしれません。
よって、定番のこのETFをいくらかいれておくこともありなのかもしれません。
まとめ
少々長くなりましたが、アメリカETFで「定番」と考えられるのは以上の通りです。
これ以外にも様々なETFがありますので、ご自分で探すのもおもしろいと思います。ただ、(日本での)定番を抑えておくことは何事においても重要ですから、この機に確認してください。
これらの具体的な話は、今後、記事にしていきたいと考えております。
全世界に投資する
VT:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF【バンガード】
S&P500(米国上場銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出)
VTI:(全米)バンガード・トータル・ストック・マーケットETF【バンガード】
VOO:(S&P500)バンガード・S&P500 ETF【バンガード】
IVV:(S&P500)iシェアーズ・コア S&P 500 ETF【ブラックロック】
SPY:(S&P500)SPDR® S&P 500® ETF【ステート・ストリート】
DIA:(NYダウ)SPDR® ダウ工業株平均 ETF【ステート・ストリート】
アメリカの特定分野に投資する
QQQ:インベスコQQQ 信託シリーズ1【インベスコ】
VGT:VGT バンガード米国情報技術セクターETF【バンガード】
アメリカの高配当ETFに投資する
VYM:バンガード・米国高配当株式ETF【バンガード】
HDV:iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【ブラックロック】
SPYD:SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF【ステート・ストリート】
レバレッジETF
SPXL:DirexionデイリーS&P500ブル3倍ETF【ディレクション】
SPXS:DirexionデイリーS&P500ベア3倍ETF【ディレクション】
債券ETFに投資する
BND:バンガード・米国トータル債券市場ETF【バンガード】
AGG:iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF【ブラックロック】
LQD:iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF【ブラックロック】
HYG:iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF【ブラックロック】
PFF:iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF【ブラックロック】
ARCC:エイリス・キャピタル【エイリス・キャピタル】
新興国に投資したい
VWO:バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF【バンガード】
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