一目均衡表の概略
一目均衡表(Ichimoku cloud)は、都新聞の商況部長の細田悟一氏(ペンネーム:一目山人)が1960年代後半に発表した指標で、「Ichimoku」として世界中で使われています。
一目均衡表は、相場は売り手と買い手の均衡の上に成り立っており、その均衡が破られるならば相場がどのように動くのかは「一目瞭然」であるとの考えに基づいています。そのため、指標では、現在、売り手と買い手のどちらが優勢かを「時間」を主体として表現しています。
一目均衡表は非常に難しいので完全に理解している人は少ないとされていますが、基本的な見方としては次の通りです。
一目均衡表の戦略
5つのラインと雲
➀転換線
短期的な相場の方向性を示します。
転換線=(過去9日間の最高値+過去9日間の最安値)÷2
②基準線
中期的な相場の方向性を示します。この基準線が相場の方向性を示しており、基準線の向きが横ばいの場合は方向性がない状態であり、また、基準線が上向くと相場は買い(強気)となり、基準線が下向くと売り(弱気)になるといわれています。また、基準線が上向いていないときの上昇、基準線が下向いていないときの下降は短期間で終了することが多いように思われます。
基準線=(過去26日間の最高値+過去26日間の最安値)÷2
③遅行線(遅行スパン)
当日の終値を25本前(当日を含む場合26本前)に戻してつないだものです。チャートが遅行線より下になっている場合、25日前に買った人は含み益になっていますので、現在は買いが優勢と考えます。逆に、チャートが遅行線より上になっている場合、25日前に買った人は含み損となっていますので、現在は売りが優勢と考えます。
遅行線=終値を26日過去にずらしてしたもの
「遅行スパンの好転」とは、遅行線が下から上にチャートを突き抜けることをいい、上記の後者の状態(25日前に買った人が含み損となっている状態)から前者の状態(25日前に買った人が含み益となっている状態)へと変わるわけですから、買いが優勢となり買いのシグナルが出ているといえます。
逆に、「遅行スパンの逆転」とは、遅行線が上から下にチャートを突き抜けることをいい、上記の前者の状態から後者の状態へと変わるわけですから、売りが優勢となり売りのシグナルが出ているといえます。
④先行スパン1
基準線と転換線の中心を26日先に先行させてつないだものです。
先行スパン1=「(転換線+基準線)÷2」を26日間先行させたもの
⑤先行スパン2
過去52日間の最高値と最安値の中心を26日先に先行させてつないだものです。
先行スパン2=「(過去52日間の最高値+最安値)÷2」を26日間先行させたもの
雲(上昇雲・下降雲)
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた部分を「雲」と呼び、先行スパン1が上側で先行スパン2が下側のものを「上昇雲」、先行スパン2が上側で先行スパン1が下側のものを「下降雲」といいます。
チャートの方が雲より上にあるときは、雲は下値抵抗線(支持線)として働き、チャートの方が雲より下にあるときは上値抵抗線(抵抗線)として働きます。先行スパン1と先行スパン2の交差する部分は「雲のねじれ」といい、トレンドの転換点となることが多いといわれています。また雲のねじれは雲の部分が薄いので、雲の切れ目を目指して急騰したり急落したりします。
一目均衡表の戦略
1.基準線と転換線の見方
- 基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド、横向きならレンジ
- 【位置】チャートの方が基準線より上のときは強い相場、チャートの方が基準線より下のときは弱い相場
- 【転換】基準線が上向きで、転換線が下から上へと基準線を抜くときは「好転」といい「買いのシグナル」で、基準線が下向きで、転換線が上から下へと基準線を抜くときは「逆転」といい、「売りのシグナル」です
2.先行スパン1と先行スパン2(雲)の見方
- 【位置】チャートの方が雲(先行スパン1と先行スパン2とで囲まれた部分)より上のときは強い相場、チャートの方が雲より下のときは弱い相場
- 【転換】チャートが下から上へと雲を抜くときは「好転」といい「買いのシグナル」で、チャートが上から下へと雲を抜くときは「逆転」といい、「売りのシグナル」です。
3.遅行線の見方
- 【位置】遅行線の方がチャートより上のときは強い相場、遅行線の方が雲より下のときは弱い相場
三役好転・三役逆転
既に見てきた「基準線と転換線の見方」「雲の見方」「遅行線の見方」で買い(売り)のシグナルがすべて出ている状態を特に「三役好転」「三役逆転」といいます。
三役好転(非常に強い買いシグナル)
- 転換線>基準線
- チャート>雲
- 遅行線>チャート
三役逆転(非常に強い売りシグナル)
- 転換線<基準線
- チャート<雲
- 遅行線<チャート
テクニカル分析のラインについてのざっくり解説は以上です。
テクニカル分析 ざっくり解説 | ||
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➀チャートパターン(フォーメーション分析) | ||
1 | ライン(サポートライン・レジスタンスライン) | すべての局面 |
2 | ダブルトップとダブルボトム | 天井・底値付近 |
3 | 三尊天井(トリプルトップ)と逆三尊(トリプルボトム) | 天井・底値付近 |
4 | 三角保ち合い(シンメトリカル・アセトラ・ディセトラ・ペナント・ウェッジ) | トレンド相場、レンジ相場 |
5 | ボックス・レクタングル・フラッグ | トレンド相場、レンジ相場 |
6 | ソーサーとカップ&ハンドル、アダムとイヴ | 天井・底値付近 |
7 | もみ合いとだましの売買ポイント | レンジ相場 |
8 | 急騰・急落の売買ポイント | 天井・底値付近 |
②インジケーター(指標) | ||
トレンド系インジケーター(順張り向き) | ||
1 | 移動平均線とグランビルの法則 | トレンドの状態とエントリーポイントの把握 |
2 | ボリンジャーバンド | 逆張りと順張り |
3 | 一目均衡表 | 一目で株価の均衡状態を捉える |
4 | パラボリック | トレンド転換 |
オシレーター系インジケーター(逆張り向き) | ||
1 | RSIとRCI | 売られ過ぎ・買われ過ぎの判断 |
2 | MACDによるゴールデンクロスとデッドクロス | トレンドの方向性 |
3 | 「売られ過ぎ・買われ過ぎ」指標のストキャスティクス | 売られ過ぎ・買われ過ぎの判断 |
4 | CCI | |
5 | DMI/ADX | トレンドの勢いの強さ |
6 | GMMAとATR | ボラティリティを測る |
③その他 | ||
1 | ダウ理論 | |
2 | エリオット波動 | |
3 | リスクリワードレシオ・フィボナッチ |
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