応用的な三角保ち合い
ペナント(Pennant)
ペナントの概略
ペナント(pennant)は、シンメトリカル・トライアングルの一種であり、鋭い直線的な上昇(下落)が見られた後、三角保ち合いを形成し、この急激な上昇(下落)がペナントの柄の部分に見えることからペナントと呼ばれています。
三角保ち合いのことをペナントと考え、ディセトラを「下降ペナント」、アセトラを「上昇ペナント」と呼ぶ人もいますし、形から三角保ち合いの一種とは考えられますが、フラッグとも親和性があります。ペナント(三角形)もフラッグ(四角形)も「旗」です。
しかし、ここでは、急激な上昇(下落)の後の三角保ち合いは、単なる上昇トレンド(下降トレンド)の調整(トレンドの押し目や戻りの部分で発生するもの)と考え、今までのトレンドと同じ方向にブレイクする信頼性がシンメトリカル・トライアングルより高いものと位置づけています。ただ、傾向としては、シンメトリカル・トライアングルと比べ小規模のものが多いように思います。
ペナントの戦略
ペナントの戦略もシンメトリカル・トライアングルと同じです。トレンド中の押し目や戻りで発生します。
基本的には、従来のトレンドと同じ方向に抜けることを想定し、ラインをブレイクしたところで買ったり売ったりします。
ただ、シンメトリカル・トライアングルも同じなのですが、従来のトレンドと同じ方向に抜けるといっても、他の指標を見てペナント形成中に「トレンドが転換した」という兆候が見られた場合は状況が変わってきます。飽くまでもペナントはトレンドに従っているわけですから、トレンドが転換したのであればその方向に抜ける可能性が高くなります(逆方向に抜ける)。
また、従来のトレンドが継続しているのであれば、柄の部分の鋭い直線的な上昇(下落)の頂点の高値(安値)はペナントがブレイクしたら越えられるはずです。それにもかかわらず、ブレイクしても越えられないようなときは、トレンドが転換した可能性があるので、ペナントの効果は失われているとみる必要があります。
上昇ウェッジ(Inclining wedge)
上昇ウェッジの概略
上昇ウェッジ(Inclining wedge)とは、三角保ち合いの変形で、三角形の上の一辺も下の一辺もともに切り上がっていき、値幅がだんだん小さくなっているものをいいます。
高値は切り上げ、かつ、安値も切り上げており、チャート自体上昇しているように見えますが、これをみて市場参加者は「安値は切り上がっており確かに「買い」圧力はあるが、抵抗線を越えるほどの圧力ではない。勢いはだんだんと弱まっており、そろそろ力尽きて落ちるだろう」と考える人が多いことから、それが頂点に達する付近で両者の拮抗が崩れ、下方向にブレイクしやすいといわれています。
上昇ウェッジには二種類あり、チャートの状況によって意味合いが異なりますが、下の方向にブレイクしやすいのは同じです。
➀上昇トレンドの「高値」付近で発生:「トレンド転換(上昇トレンド→下降トレンド)」
ここら辺が天井高値であり、これから下降していく
②下降トレンド中に発生 :「トレンド継続(下降トレンド→下降トレンド)」
下降トレンド継続中の戻りとして一時的に上げたに過ぎず、またトレンドに従い下落していく
上昇ウェッジの戦略
上昇ウェッジの戦略もディセトラと同じです。
傾向として下にブレイクしやすいとはいえ、上にブレイクする可能性も決して低いものではありません。よって、下方向にブレイクしたのを確認して「売り」を入れることになります。
逆に上方向にブレイクした場合は、そのブレイクしたところで「買い」を入れることになります。
また、下方向にブレイクするのを確信している場合は、その確信した時点で「売り」を入れることも考えられますが、当然のことながらリスクを伴います。その場合は自分でこれ以上、上がったら撤退するという損切りラインを設定しておくべきです。その損切りラインの候補としては切り上がっているレジスタンスライン(抵抗線)が一つの目安となるかと思います。
利益確定ポイントとしましては、上昇ウェッジを形成し始めたと考えられる下値と同じです。理由は市場参加者の多くの人がこれくらい下がればそこが底値だろうと考え、利益の確定をし出すので、チャートが上がってくるだろうと考えられるからです。
他の利益確定ポイントとしては、チャートはこのまま下落し続けると考え、このサポートライン(支持線)まで上がるまで持ち続けるというのも考えられます。
下降ウェッジ(Declining wedge)
下降ウェッジの概略
下降ウェッジ(Inclining wedge)とは、三角保ち合いの変形で、三角形の上の一辺も下の一辺もともに切り下がっていき、値幅がだんだん小さくなっているものをいいます。
高値は切り下げ、かつ、安値も切り下げており、チャート自体下降しているように見えますが、これをみて市場参加者は「安値は切り下がっており確かに「売り」圧力はあるが、支持線を越えるほどの圧力ではない。勢いはだんだんと弱まっており、そろそろ力尽きて上がるだろう」と考える人が多いことから、それが頂点に達する付近で両者の拮抗が崩れ、上方向にブレイクしやすいといわれています。
下昇ウェッジには二種類あり、チャートの状況によって意味合いが異なりますが、上の方向にブレイクしやすいのは同じです。
➀下降トレンドの「底値」付近で発生:「トレンド転換(下降トレンド→上昇トレンド)」
ここら辺が底値であり、これから上昇していく
②上昇トレンド中に発生 :「トレンド継続(上昇トレンド→上昇トレンド)」
上昇トレンド継続中の押し目として一時的に下げたに過ぎず、またトレンドに従い上昇していく
下降ウェッジの戦略
下降ウェッジの戦略もアセトラと同じです。
傾向として上にブレイクしやすいとはいえ、下にブレイクする可能性も決して低いものではありません。よって、上方向にブレイクしたのを確認して「買い」を入れることになります。
逆に下方向にブレイクした場合は、そのブレイクしたところで「売り」を入れることになります。
また、上方向にブレイクするのを確信している場合は、その確信した時点で「買い」を入れることも考えられますが、当然のことながらリスクを伴います。その場合は自分でこれ以上、下がったら撤退するという損切りラインを設定しておくべきです。その損切りラインの候補としては切り下がっているサポートライン(支持線)が一つの目安となるかと思います。
利益確定ポイントとしましては、下降ウェッジを形成し始めたと考えられる上値と同じです。理由は市場参加者の多くの人がこれくらい上がればそこが天井だろうと考え、利益の確定をし出すので、チャートが下がってくるだろうと考えられるからです。
他の利益確定ポイントとしては、チャートはこのまま上昇し続けると考え、このレジスタンスライン(抵抗線)まで下がるまで持ち続けるというのも考えられます。
まとめ
以上のことをまとめると下図のようになります。
天井・底値付近 | トレンド継続中 | |
シンメトリカル | 信頼度低い | トレンド継続(トレンド継続) |
ディセトラ | 下方向(トレンド転換) | 信頼度低い |
アセトラ | 上方向(トレンド転換) | 信頼度低い |
上昇ペナント | 信頼度低い | 上方向(トレンド継続) |
下降ペナント | 信頼度低い | 下方向(トレンド継続) |
上昇ウェッジ | 下方向(トレンド転換) | 一時的な上方向(売り目)→下降トレンド継続 |
下降ウェッジ | 上方向(トレンド転換) | 一時的な下方向(押し目)→上昇トレンド継続 |
テクニカル分析のラインについてのざっくり解説は以上です。
テクニカル分析 ざっくり解説 | ||
---|---|---|
➀チャートパターン(フォーメーション分析) | ||
1 | ライン(サポートライン・レジスタンスライン) | すべての局面 |
2 | ダブルトップとダブルボトム | 天井・底値付近 |
3 | 三尊天井(トリプルトップ)と逆三尊(トリプルボトム) | 天井・底値付近 |
4 | 三角保ち合い(シンメトリカル・アセトラ・ディセトラ・ペナント・ウェッジ) | トレンド相場、レンジ相場 |
5 | ボックス・レクタングル・フラッグ | トレンド相場、レンジ相場 |
6 | ソーサーとカップ&ハンドル、アダムとイヴ | 天井・底値付近 |
7 | もみ合いとだましの売買ポイント | レンジ相場 |
8 | 急騰・急落の売買ポイント | 天井・底値付近 |
②インジケーター(指標) | ||
トレンド系インジケーター(順張り向き) | ||
1 | 移動平均線とグランビルの法則 | トレンドの状態とエントリーポイントの把握 |
2 | ボリンジャーバンド | 逆張りと順張り |
3 | 一目均衡表 | 一目で株価の均衡状態を捉える |
4 | パラボリック | トレンド転換 |
オシレーター系インジケーター(逆張り向き) | ||
1 | RSIとRCI | 売られ過ぎ・買われ過ぎの判断 |
2 | MACDによるゴールデンクロスとデッドクロス | トレンドの方向性 |
3 | 「売られ過ぎ・買われ過ぎ」指標のストキャスティクス | 売られ過ぎ・買われ過ぎの判断 |
4 | CCI | |
5 | DMI/ADX | トレンドの勢いの強さ |
6 | GMMAとATR | ボラティリティを測る |
③その他 | ||
1 | ダウ理論 | |
2 | エリオット波動 | |
3 | リスクリワードレシオ・フィボナッチ |
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