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高配当株式を探してみよう(日本株式編)その2

高配当株式
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高配当株式の探し方

前回の続きです。

高配当株式を探してみよう(日本株式編)その1
なぜ高配当株式を買うのか 高配当株式を買う理由 高配当株式に投資する理由や方法としては様々なものがありますが、その一つとして「配当生活を送るため」というものがあります。「配当生活」とは、自動的に入ってくる配当のみで生活していくというものです...

前回は、基本的には、高配当株式投資とは「インカムゲイン(配当益)」を狙うだけではなく、「キャピタルゲイン(譲渡益)」も狙っていかなければならず、単純に「配当利回り」が大きいものから順に買っていけばよいという単純なものではないこと、そして、その意味での高配当株式とは、

配当利回り5%以上(目標)、かつ、今後成長が見込める株に投資すること

であると書きました。このことを前提に高配当株の探し方を考えてみたいと思います。

ここでは、大きく➀配当に関すること、②成長株的側面、③割安株的側面に分けて考えてみます。分解すると、「配当利回り5%以上(目標)」というのが➀であり「今後成長が見込める株に投資すること」というのが②あるいは③です。よって、➀はマストですが、②と③はどちらか一つに該当すればよいということになりますね。

配当に関すること

まず、その企業が配当を出しているのか、配当を出す予定があるのか、それを確認しなければなりません。高配当株式投資なんですから。企業によっては、「どのような状況になっても配当は出さない。株主への還元は株価が上がることによる譲渡益だ。」という考えの企業もあります。有名なところでは、投資の神様バフェット氏の率いるバークシャー・ハサウェイ社ですね。考え方の違いなのでそれがいいか悪いかは別として、「高配当株式投資」という意味では除外しなければなりません。

配当利回り

配当利回りは、企業によって出される配当金額をもとに、1株あたりの年間予想配当金額(変更あり)を現在の株価で割ったものです。計算式は下の通りですが、だいたいのサイトでは自動的に計算してくれていますので手動で計算することはありません。

配当利回り(%)1株あたりの年間予想配当金額 ÷ 現在の株価 ×100

このことからわかるように、「配当利回り」というのは、株価が上がれば下がりますし、逆に、株価が下落すると上がります。ということは、何かしらの理由で株価が暴落している株の配当利回りというのは、暴落していることを理由に配当額を変えないかぎり、得てして高いということになります。これは危険な香りがしますね。盲目的に配当利回りの高いものを買ってしまうと変なものをつかんでしまいそうです。

なお、今後もらえるであろう配当を基にしたものを「予想配当利回り」といい、すでに確定した過去の配当を基にしたものを「実質配当利回り」といいます。

例:2914 日本たばこ産業 – IFIS株予報 – 配当情報

配当性向

配当の利益の原資は、その企業の当期純利益であり、そこから拠出されるわけですが、当期純利益すべてを配当に回すわけではありません。当期純利益は、設備投資に回したり、内部留保したりしますが、そのうちの一つに配当があるわけです。

そこで、その当期純利益のうち配当の占める割合はどれくらいかを示したものが「配当性向」となります。計算式は下の通りですが、これもまたサイトに載っているので自分で計算する必要はありません。

配当性向(%)1株あたりの配当額 ÷ 1株あたりの当期純利益 ×100
配当性向(%)配当金支払総額 ÷ 当期純利益 ×100

日本の配当性向の平均が30%であることから、30%が一応の目安とされていますが、これは高ければよいというものではなく、その会社ごとの判断によるといえます。というのも、これから成長していく企業は株の価値を上げるためにその利益を新規事業や設備投資に回すべきですから、当期純利益のほとんどを配当に回しているのであればそれはそれで問題ですし、配当性向が高く利益のほとんどを配当に回しているということは配当額は大きいですけど、それは新規事業の先細りを意味します。つまり、これも「配当益」をとるか「譲渡益」をとるかのバーターの関係にあるわけでして、悩ましいところです。その企業の性質を見極めてポートフォリオに組み入れます。

例:2914 日本たばこ産業 – IFIS株予報 – 配当情報

連続増配

配当を出している企業でも今後も同じように配当を出すとは限りません。高配当株式投資をするのであれば、連続して配当を出す企業を見極める必要があります。米国株では、配当貴族として25年以上連続して配当を出している企業がたくさんあり、そのような企業を集めた「S&P500配当貴族指数」なんかがあるのですが、日本の場合は、経営が悪化するとすぐに配当をやめたり、減配したりするので、それをどう考えるのかが非常に難しいといえます。

日本で連続増配している企業で一番有名なのは「花王(4452)」で、28年間連続増配をしています。配当に対し非常に強い意志を感じます。非常に高配当株式向きといえます。

連続して配当を出しているだけでなく、増配(年々配当額を上げていること)もしていると、買った当時には配当利回りが低くても、それが10年も20年もたつとその配当利回りは劇的に上がっていきます(もらえる配当の額が上がるため)。このような点は数字として目に見にくいですが、非常に重要な点でもあります。

配当を毎年出していて、増配もしている企業」という過去の配当の動向も確認しておく必要があります。(常に増配している企業というのは少ないので、連続して配当を出しており減配していない企業というのも見ておく必要があります)

参考:高配当株:10年連続増配企業 配当利回りランキング|日本株(個別株) | 投資の森

自社株買い

企業が「自社株買い」を行うことがあります。「自社株買い」をしてその株を「消却」すると当然のことですが、発行済株式総数が減少します。それはつまり、その企業が発行している株が減少するわけですから、1株あたりの価値が上昇します。
よって、株価が上昇しやすいといえます(理論上は株価は上昇しなければおかしいのですが、株価というのは市場心理により左右されるので必ず上がるというわけではありません)。

この「自社株買い」と「配当」は株主への還元を目的としていることから、これをまとめて「総還元性向」として一つの指標とすることがあります。

総還元性向(%)=(配当総額自社株買いの額)÷当期純利益 ×100

こちらの方が「配当性向」より株主還元の意志の強さが分かります。しかし、それが高ければ高いほどよいかは配当性向と同じ問題があります。とはいえ、企業が株主に対してどういう態度で臨んでいるのか、積極的に利益を還元していこうとしているのかを知る際の参考にはなります。

内部留保

先ほど述べたとおり、配当は当期純利益から出ますが、そのすべてを配当に回すわけではありません。それを企業内にとどめるものもあります。それが「内部留保」ですが必ずしも現金で持っているわけではなくて不動産や機械などの資産となっていることもあります。非常に曖昧ですが「利益剰余金」や「現預金」などがそれに当たると考えられます。

この内部留保金が多い企業は、「配当を出す可能性があり」「すでに配当を出している場合は増配する可能性がある」といえます。なぜならばその原資がその企業にはすでにあるからです。

この点を含め、内部留保にも気を回すとよいと思います。

ネットキャッシュ

ネットキャッシュとは、企業の手元にある現預金に短期保有の有価証券を加えた流動資産から有利子負債を差し引いた金額のことをいいます。つまり、借金をすべて返したとしても手元に残るすぐ動かせる現金等のことであり、これが多ければ、その企業の財務健全性は高いといえますが、いわゆる「遊んでいるお金」ですので、これら資金を設備投資などに活用するよう株主から求められたり、その現金等を狙って企業買収をかけられたりします。

ネットキャッシュ=(現預金有価証券)- 有利子負債

そこで、これらネットキャッシュが高い企業それを配当の増配(特別配当など)や自社株買いなど株主への還元に使う可能性があります。それにともない、株価も上昇する可能性があるというわけです。

このようなネットキャッシュがどれだけあるかを示すのが「ネットキャッシュ倍率」であり、下のような式で表されます。

ネットキャッシュ倍率時価総額 ÷ ネットキャッシュ
※時価総額=株価×発行済株式総数

株主優待

配当と同じようなものとして「株主優待」を出している企業もあります。その株主優待を金銭的評価してそれを配当に加えたものを「実質的配当利回り」として配当を計算する人もいます。株主優待が好きな人は好きですからね。株主優待というのはおまけ好きな日本人らしいといえます。

しかしながら、個人的には株主優待は飽くまでおまけに過ぎず、高配当株式選択の際の判断の基準に加えるべきではないと考えます。お金に換価するのも面倒ですし、換価率も必ずしも100%ではなくディスカウントされます。またあるサービスが得になる券だからといって強制的に利用させられるのもあまり好きではありません。株本体をみず、株主優待につられてその株を買うのは本質を見失っていると私は考えています。よって、もらえたらもらえたらでラッキーだというスタンスで望む方がよいのではないかと思います。

成長株側面

配当はその企業の当期純利益から出されると書きましたが、そうであれば、その企業の当期純利益が毎年伸びていけばそれに伴って配当も多くなる(可能性が)あります。逆に、当期純利益が毎年減っていけば配当も少なくなる、あるいはなくなる(可能性が)あります。

そこで、高配当株式を選ぶ際には5年から10年の利益を見てみる必要がありそうです。基本的に、各種利益が右肩上がりで増えていっているのであれば、今後の配当も株価の上昇も期待できるといえそうです。

営業利益

営業利益とは、その企業が本業で稼いだ利益のことであり、次の式で表されます。本業で稼いだ利益ですので、これが増えていないということは本業があまり上手くいっていないことを示しています。

営業利益売上総利益 -(販売費 + 一般管理費)

経常利益

経常利益とは、さきほどの「本業での利益」に、それには含まれない「本業外で獲得した利益と費用」を加えたものであり、次の式で表されます。多くの企業は営業利益と経常利益はだいたい同じようなものになるはずですが、もし両者が大きく違っていたら、どうしてそうなったのかを調べる必要があります。

本業で営業利益が黒字であったとしても、他での借入金・利息の返済等の負担が大きい場合は、経常利益は小さくなりますし、本業が赤字であったとしても、その他諸々で経常利益を黒字にしているのであれば、本業に何かしらの問題があることが分かります。

経常利益営業利益 + (営業外収益営業外費用)

当期純利益

最後に、配当の原資となる当期純利益です。規模の違う企業ごとの当期純利益を比べてもよく分からないので、その当期純利益が1株あたりどれくらいかを調べます。それが次の式です。

1株あたりの当期純利益税引後の当期純利益 ÷ 発行済株式総数

この1株あたりの当期純利益が5~10年単位で右肩上がりで上がっていれば、高配当株式としては非常に期待ができることになります。ただ、単発で「特別利益」があった場合や「特別損失」があったときはその期のみ1株あたりの当期純利益が増えたり減ったりします。これは単発ですので、参考程度にするべきであるといえそうです。

割安株的側面

「配当益」とともに「譲渡益」も狙うのであれば、その株をいつ買うのかも重要です。投資の基本は安く買って高く売ることです。そうであるならば、割安な株を見つけて買っておけば、その後、株価の値上がりが期待できます。そこで、配当について期待を持てる企業からそのような割安株を見つけることが、高配当株式投資の一つの戦略となると思われます。

PER(株価収益率):業績からみた割安度

PERとは、会社の収益力(利益)から見て今の株価が割安か割高かを測る指標で次の式で求められます。

PER(株価収益率)株価 ÷ 1株あたりの利益(1株益;連結の今期予想値)
 ※PERの値が小さければ小さいほど割安である
 ※今の株価が1株益の何倍なのかを表したもの

日本市場ではPERの平均は15倍程度(10~20倍)であり、これを一つの目安とします。つまり、PERが15倍以下のものを探すわけです。しかし、このPERは市場参加者の多くが「この株は将来値上がりしそうだ」と考えれば上がりますし、「この株は今後期待できない」と考えれば下がります。よって、PERが低ければよいというものではなく(それらの多くは市場参加者がダメ出ししたものである)、探し出すべきものというのは「実際は利益が伸びていきそうなのに、市場参加者の多くが期待していない(誤解している)株」です。非常に高い審美眼が要求されますね。

PBR(株価純資産倍率):資産から見た割安度

PBRとは、その企業の資産から見て今の株価が割安か割高かを測る指標で次の式で求められます。株価が1株あたり純資産の何倍となっているかを表します。

PBR(株価純資産倍率)株価 ÷ 1株あたりの純資産額
 ※純資産とは企業の資産全体から負債を引いた金額のことであり、
  それは純粋にその企業の資産であり、基本的には株主のものである

通常は企業の価値は純資産以上になるはずであり、少なくともPBRは1倍以上の状態になっているのが正常です。ところが、これが1倍を割っているものがあります。そのような場合は、企業の価値は純資産より安くなっているのですからお買い得です。

しかしながら、単純に1倍を割っているからといって買ってはいけません。買うべきものは、優良企業だけれども一時的に株価が大きく下がっていてPBR1倍を割っているもの(つまり、今後PBR1倍以上を回復すると期待できる)です。買ってはいけないものとは、資産を割っていたとしても経営が危ういと評価されて株価が下がっていて1倍を割っているものです。前者を見つけ出すことが肝要となります。

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買ってはいけない高配当株式

最後に、高配当株式であっても買ってはいけない高配当株式について書いて終わりたいと思います。

目指す高配当株は、「配当利回り5%以上(目標)、かつ、今後成長が見込める株に投資すること」です。よって、次のことが分かります。

  1. 配当を狙っていくわけですから、配当の減配がありそうな株配当を廃止しそうな株は買ってはいけません。
  2. 配当を継続的に得ることを狙っていくわけですから、身の丈以上の配当をしている企業の株も買ってはいけません。例えば、利益が安定して出せていないのに、配当性向が高く、その利益のほとんどを配当に回しているような企業は継続的な配当を望めませんし、成長も望めません。
  3. 配当を継続的に得ていくことを狙っていくわけですから、「記念配当」や「特別配当」で単発的に配当利回りが上がっている企業も趣旨から外れます。一時ではだめです。継続的に配当を得たいのです。
  4. 配当を継続的に得ていくことを狙っていくわけですから、景気敏感株のような景気強く左右されそうな企業の株を買ってはいけません。不景気になったら配当が減配されたりなくなったりするのであれば継続性が訴外されます。買うなら不景気のときも強いディフェンシブ株が望ましいです。
  5. 高配当であっても、株価が将来下がってきそうなものは買ってはいけません。譲渡益を稼げなくなってしまいます。
  6. 高配当であっても、割高な株は買ってはいけません。高づかみの状態で譲渡益を稼げなくなってしまいます。例えば、配当利回りを高くすることで株主をつなぎ止めようとしている企業もあります。
  7. 高配当であっても、借り入れ(有利子負債)が多い企業も買ってはいけません。借金によって将来利益が圧迫され配当が少なくなる可能性があります。

このようにいくつか挙げましたが、矛盾するようですが、「買ってはいけない」から絶対に「買ってはいけない」ということもありません。いろいろなファクターから総合的に判断してそれらに該当すべきでも「買うべき」と判断することはあり得ます。

ただ一般論として、高配当株式投資としてこういう株を買うのは避けた方がよいというということだけなのです。

このような基本原則を守りながらときには大胆に判断して高配当株式を探していくことこそ、高配当株式投資の醍醐味なんだと私は考えています。

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